日本の中で、最も古く、そして最も大きい「異邦」をかたち作っているのが在日中国人コミュニティーだ。今や日本に居住する中国人は80万人とも言われている。もちろん、彼らの居住地はバラバラであるから、地理的に一塊のコミュニティーというわけではない。
しかし、在日中国人らはチャットアプリのウィーチャット(微信)やウェイボー(微博)などといった独自のコミュニケーションツールでつながっており、サイバー上には政令指定都市1つ分くらいの規模のチャイナタウンが形成されていると言っても過言ではない。
そんな在日中国人コミュニティーでは「店の経営者も来店する客も中国人のみ」という独立した経済活動が盛んに行われている。
例えば、JR池袋駅北口にある雑居ビルには、ネイルサロンや脱毛クリニック、タトゥースタジオなどが、日本人の目にはほとんど触れない形で営業している。なかには美容室、まつ毛エクステなどのように美容所開設届や国家資格が必要なサービスもあるが、「中国人客限定」で営業している店はまず、無届・無資格だと思っていい。
在日中国人コミュニティー内で完結するこうした業態の多くも、やはりコロナ禍の打撃を受けている。外出する機会が減ればオシャレや美容にカネを使わなくなるのは、どこの社会も同様だ。