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感情も生々しく
〈関ヶ原の役はやんでも、平和の裏の人生の戦はあんなものどころか、いよいよ修羅と術策の巷を作っているのだぞ。その中で、克ちきる道は、自分をみがくことしかない〉
国民的作家と呼ばれる吉川英治(1892~1962年)の代表作である小説『宮本武蔵』。関ヶ原の戦場に転がる死骸の間で、若き武蔵が死んだふりをして敵の目を逃れるシーンから、物語は幕を開ける。名を上げようとしたものの果たせなかった武蔵は、諸国を流浪しながら剣術修行を重ねる。
世代によっては、井上雄彦さんの漫画『バガボンド』の原作として知られているかも。かくいう私も、漫画誌での連載時に同作にハマッて、吉川作品にさかのぼった一人だ。