簡単にいうと、細長い棒のような胸腔鏡の先端にビデオカメラが付き、内部の状況をモニターで見ながら別の特殊な医療機器で手術を行う。ビデオカメラが3D画像になったことで、僧帽弁形成術や弁置換術のMICSは行いやすくなった。しかも、切開が4センチ程度まで小さくなり、患者の術後の回復も早くなったといわれている。
「4センチの切開よりも、4つのキーホールのダビンチ手術ならば1センチ程度の傷が4つで済みます。出血も少なく、入院期間も短い。小切開術とダヴィンチは全く違うといってもいいでしょう」
ダヴィンチは、医師が高解像度の3D画像を見ながら、ロボットアームを遠隔操作する。医療機器の先端は360度回転するなど、人の指先では実現できない動きを可能としている。糸を縫うときの手振れもなく、技術面に優れた医師が扱うと、自由自在にロボットアームを動かすことができる。
結果として、手術時間はMICSより短く、患者の回復も早い。ただし、国内のロボット支援下手術に問題がないわけではない。僧帽弁のダヴィンチ手術でいえば、4つのキーホールで行っている医療機関がほとんどないのだ。