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1月に「見過ごされた耐震化」と題し、阪神淡路大震災にまつわるNHKの特集番組が放映された。
タイトルを見た瞬間は、「うん?」と首をかしげた。阪神淡路を機に、住宅の耐震改修が急速に進んだことは周知の事実だろう。「見過ごされたとは…?」と意外に感じたのだ。
だが、そこで課題提起されたのは住宅の件ではなく、「ビルの倒壊」対策が遅れている現実についてだった。
阪神淡路大地震が発生したのは早朝。犠牲者の多くは就寝中などに崩れた自宅の下敷きとなった人たちだ。住宅の耐震化に対する公的補助制度が創設されたのは、その反省からである。
一方、神戸市役所の6階部分が崩落するなど、「中間層崩壊」と呼ばれる現象をはじめ、ビルがつぶれる被害も旧耐震の建築物の多くで起きていた。
ただ、そうした場所で亡くなった人は限られた。そのため、「ビルの耐震化」は熱心には推進されず、結果、耐震性不明のまま放置された建物が神戸市内だけで約3万3000棟もあるというのだ。