
ロシアのウクライナ侵攻を受けて、世界各国の「安全保障方針の大転換」が相次いでいます。
スウェーデンは、1939年のソ連によるフィンランド侵攻以来、紛争当事国への武器供与をウクライナに行うことを発表しました。NATO(北大西洋条約機構)非加盟のフィンランドも、戦後の中立政策を転換して、ウクライナへの武器供与を表明しました。
昨年政権が交代したドイツは劇的です。マルティン・シュルツ首相の社会民主党(SPD)は、西ドイツ時代の東方外交以来、「対ソ、対露融和的」とみられていましたが方針転換しました。メルケル前政権が16年余りかけて築いた「独露蜜月」をひっくり返し、ロシア産の天然ガスを運ぶパイプライン「ノルドストリーム2」の承認を停止しました。事業会社の破産手続きまで現実味を帯びてきました。
従来は「今年中の脱原発」を目指していましたが、経済・気候変動相は「原発稼働延長を検討している」と明かしました。ショルツ氏は、国防費について米国が求め続けてきたGDP(国内総生産)比2%を超える大幅増を表明しました。

ロシアの暴挙が、周辺国の対露認識を一変させたわけです。
では、日本はどうでしょうか。わが国も北方でロシアと対峙(たいじ)する周辺国です。欧州各国と同様、戦略の大転換があってもおかしくありません。折しも、今年は2013年以来の「国家安全保障戦略の見直し」が予定されています。