東日本大震災から11年 忘れない、立ち止まらない

次世代に水辺で遊ぶ魅力継承 防災啓発だけでなく「何が危ないのかを経験から学んでほしい」1/2ページ

川原川公園で遊ぶ、佐々木さん夫妻と蒼良君(東海新報社提供)
川原川公園で遊ぶ、佐々木さん夫妻と蒼良君(東海新報社提供)

かつて、まちがあった場所は復興土地区画整理事業によって盛土の下に消え、そこに以前の面影を見いだすことは難しい。それでも基本的には変わらないものもある。河川などがそうだ。

岩手県陸前高田市の中心市街地を南北に貫く「川原川」は、その一つである。

同市のNPO法人「桜ライン311」の職員、佐々木正也(せいや)さんは、この川のたもと…川原地区で生まれ育ち、子どものころは毎日のように川で遊んでいたという。

11年前の大地震発生を受け、佐々木さんは自宅にいた両親と別れて消防団活動に向かった。およそ30分後、想定をはるかに上回る津波が同地区を飲み込み、母の香子さん(当時61)が犠牲となった。後から、香子さんが一度は避難しながら、自宅の方へ引き返していたと分かった。

「父の薬を取りに戻ったのか。隣に住んでいた高齢の女性も連れてこなければと思ったのか」。それは今も分からない。でも、「きっと誰かのための行動だったはず」と佐々木さんは思う。「それぐらい、優しい人だった」。

地震直後に顔を合わせ、互いに「よう」と手を挙げて無事を確認したはずの幼なじみや、近隣の人々も数え切れないほど亡くなった。

災害に対する意識がもっと高ければ。もっと強く「逃げよう」と母や皆に伝えていれば─そんな後悔を抱く佐々木さんが所属する桜ライン311は、津波到達地点に桜を植えることで防災を啓発する団体。一人一人に防災意識を根づかせたいと活動に携わる佐々木さんが同じくらい願うのは、次世代にも水辺で遊ぶ楽しさを知ってほしいということだ。

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