防衛省は外国勢力が虚偽情報をインターネットに流し、世論の誘導や混乱を狙う作戦への監視を強化する。2022年度に「グローバル戦略情報官」の役職を新設する。ロシアはウクライナ侵攻を正当化するため、同政権を「ネオナチグループ」と宣伝している。中国も同様の作戦を得意としており、中露を念頭に有事に備えた警戒態勢を拡充する。
外国勢力が他国の世論誘導や選挙への介入を目的に流布する虚偽情報は「ディスインフォメーション」と呼ばれる。SNSなどで拡散させ、他国の世論を味方に付けたり、軍事組織の士気を低下させたりする。他国の選挙に合わせ、自国に都合の悪い候補の虚偽情報を発信し、都合の良い候補の当選を後押しすることもある。
ロシアは14年、ウクライナのクリミア半島を強制編入した際、「現地の人々がロシアへの編入を求めている」などの情報を流した。中国は19年のオーストラリア総選挙への干渉を目的に議会や主要政党にサイバー攻撃をしたとされる。
日本国際問題研究所の桑原響子研究員は「中国が台湾に武力侵攻する台湾有事が起これば、日本にも多くの虚偽情報が流布されることになる。中国は日本国民の厭戦ムードを刺激し、米国と切り離そうとするだろう」と分析した。