
経済財政諮問会議の中で、この25年間で、働き盛りの世帯の所得が100万円以上減少しているとして、非正規雇用の若年単身世帯の割合が大きく上昇していることなどが指摘された。
経済財政諮問会議をめぐっては、筆者は小泉純一郎政権当時、竹中平蔵大臣の命を受け、民間議員ペーパーの下書きをしていた。当時、同会議はマクロ経済を首相に説明する唯一の機会だった。もちろんマクロ経済だけではなくミクロ経済の話題もあったが、それでも財政再建に関わるマクロ経済を議論する場として有用だった。
だが、今の経済財政諮問会議の民間議員には、マクロ経済の専門家がいない。民間議員4人のうち2人は産業界代表枠、2人は学者・エコノミスト枠だが、後者枠では東大大学院教授の柳川範之はミクロ経済、BNPパリバ証券の中空麻奈氏はいわゆる「債券村」の出身だ。
3日に開催された経済財政諮問会議の議題は、(1)マクロ経済運営(金融政策、物価等に関する集中審議)と(2)所得向上と人的資本の強化だった。開催時間は45分だけだが、その資料は大量で、ほとんど役人が書いたものを一部だけ委員が首相に説明しているのだろう。
議題(1)に関する民間議員ペーパーで、「コロナ前のGDP水準を回復した今こそ」という記述があった。2021年10~12月期の実質GDP(季節調整済み)は541・4兆円だ。コロナ前とは19年10~12月期の542・2兆円を意味しているのだろう。