
ウラジーミル・プーチン大統領率いるロシアによるウクライナ侵攻が、新たな局面を迎えつつある。ロシア軍による首都キエフへの総攻撃が近づくなか、米英両国が「ロシアによる化学兵器や生物兵器の使用」に警告を発しているのだ。残虐・卑劣な化学・生物兵器の使用は、国際人道法で禁止されている。ロシアと同盟関係にあるシリアの内戦では2013年以降、アサド政権による化学兵器使用が国際機関によって確認されている。海外メディアは、西側諸国を非難して化学兵器使用の口実をでっち上げる「偽旗作戦」の可能性も指摘する。ウクライナ国民の苦しみを、これ以上、増やしていいのか。
「化学兵器を使用する恐れがあり、深く懸念している」「ロシアは過去の紛争で使ってきた」
英国のエリザベス・トラス外相は、米CNNの取材にこう指摘した。
米国のジェン・サキ大統領報道官も9日、ツイッターで「ロシアがウクライナで化学兵器や生物兵器を使う可能性に警戒する必要がある」と訴えた。ロシアがロシア反体制派、アレクセイ・ナワリヌイ氏に対し、化学兵器の一種の神経剤「ノビチョク」で毒殺を図ったり、化学兵器使用を繰り返したシリアのアサド政権を支えたりしてきたと主張した。
シリア内戦では、神経剤サリンや塩素ガスが使用された。子供や女性など民間人に多くの犠牲者が出たとされる。