司法書士法人松野下事務所、一般社団法人エム・クリエイトなどから構成される松野下グループ(東京都豊島区)は、人生100年時代の生前対策・相続対策を幅広くサポートしている。前田照子氏(司法書士)に話を聞いた。今回は、遺言、成年後見制度の特色と留意点について。
◇
相続人同士が不仲、平等な分割が難しい資産構成といった理由で、相続トラブルが予見される場合、未然に防ぐ手段として有効なのが遺言の作成です。遺留分(一定範囲の法定相続人に認められる最低限の遺産取得分)の侵害に留意する必要があるものの、遺言を作成することで、自分の財産の承継先を決めておくことができます。相続人ごとに相続させる財産を指定したい場合、相続人以外の人に財産を承継したい場合なども遺言の作成が有効です。また、相続人の人数が多く、円滑な遺産分割協議が難しそうな場合なども、遺言を作成しておけば、相続手続きがスムーズに進むでしょう。
ただし、遺言では、二次相続以降の財産の承継先を決めることができません。「賃貸アパートは、長男に相続させ、長男の死後は、二男の子に相続させる」という内容の遺言を作成しても、法律上無効です。長男に相続された財産の承継先を決められるのは、長男だけだからです。