3月11日で東日本大震災から11年となった。国内の復興や防災態勢はどこまで進んだのか。そして、原発のあり方をどう考えるべきか。
地震・津波被災地域と原子力災害被災地域に分けると、前者では復興の「総仕上げ」の段階になっており、残された課題は被災者の心のケアなどだ。後者では復興・再生が「本格的に始まった」段階にとどまっているので、引き続き国が前面に立って対応することが必要だ。
①住まいとまちの復興②産業・生業の再生③福島の復興・再生④被災者支援という視点でみてみよう。
①はおおむね完了した。具体的には、高台移転による宅地造成(計画約1・8万戸)、災害公営住宅の整備(計画約3・0万戸)を終えた。インフラ整備はおおむね完了し、三陸沿岸道路の全線開通(2021年12月18日)により総延長約570キロが全線開通、JR常磐線の全線開通(20年3月14日)により被災した鉄道が全線開通となっている。
②もおおむね復旧した。19年の製造品出荷額等を震災前の10年と比較すると、岩手県が125%、宮城県が127%、福島県が100%となっており、震災前水準に回復した。19年の観光は政府目標の東北6県の外国人延べ宿泊者数「150万人泊」を達成した。津波被災農地の94%で営農再開可能、水産加工施設の98%で業務再開しており、これも回復している。
残された課題は中核産業である水産加工業だ。漁業の水揚げは低調であり、水産加工業の売り上げも回復途上にとどまっている。