
ロシア軍のウクライナ侵攻以降、両国に関する本や漫画が注目されている。出版社は増刷やインターネットでの無料公開でニーズに対応しているが、犠牲者が増え続けている人道危機だけに宣伝は控えめだ。
中央公論新社が3万部増刷に踏み切ったのは、黒川祐次・元駐ウクライナ大使の著書「物語 ウクライナの歴史」。2002年の刊行以来、ロシアによるクリミア強制編入など、ウクライナがニュースになると注文が増えるという。
昨年刊行の「現代ロシアの軍事戦略」は筑摩書房が2万部を増刷。侵攻開始以来、テレビ出演も多い小泉悠・東京大専任講師が読者の「なぜ?」に答え、ロシアの軍事思想などを読み解く。
「地政学リスクコンサルタント」の女性が活躍する田(でん)素弘さんの漫画「紛争でしたら八田まで」は、ウクライナ関連の6話について講談社が漫画配信サイト「コミックDAYS」で無料公開を始めた。
各社とも思わぬ形で脚光を浴びたが、ある出版関係者は「侵攻自体は不幸な話。背景やウクライナを知る一助としてもらえれば」と話した。