ウクライナ侵攻を続けるロシアのプーチン大統領は、2014年にクリミア半島を強権的に併合した際、尊敬する人物の銅像を当地に建てたといわれています。
その人物が、ロシアの19世紀末の専制君主、アレクサンドル3世。父親のアレクサンドル2世は農奴解放令を制定するなど改革派として知られていますが、その子は対照的に「保守的」「反動的」だったといいます。
プーチン氏の考えについて、新潟県立大・青山学院大の袴田茂樹名誉教授(現代ロシア論)は、「アレクサンドル3世の発想そのままだ」と指摘します。
袴田氏によると、アレクサンドル3世は「次のことを忘れてはならない。われわれは、敵国やわれわれを憎んでいる国に包囲されているということ、われわれロシア人には友人はいないということだ。われわれには友人も同盟国も必要ない。最良の同盟国もわれわれを裏切るからである。ロシアには信頼できる同盟者は2つしかない。陸軍と海軍である」と述べたと伝えられているとのことです。
「現在のプーチンの言葉といっても不思議ではない」と袴田氏。「帝政ロシア時代からの帝国主義的思想に取りつかれている」と分析します。
ロシアの動きが国際秩序をどう変えるのか、懸念が膨らむばかりです。 (S)