ロシアによるウクライナ侵攻で確認されたのは、国を守る防衛力の重要性だろう。ロシアの暴挙を機に、これまで防衛産業の投融資を敬遠してきたESG(環境、社会、企業統治)マネーが「現実路線」に転換する可能性が出てきた。
金融市場で話題になったのはスウェーデンの金融大手SEB。系列ファンドによる軍事関連企業の株式購入を解禁した。「北欧諸国は人権や環境問題では先進国です。国民も金融機関も防衛産業への資金供給を極度に嫌ったので、軍事関連投資の解禁は驚きです」と外資系運金融機関の幹部は語る。
ウクライナの激しい抗戦にロシアが侵攻の足を止める3月3日、ロシア戦闘機がスウェーデン領空に侵入する騒ぎがあった。ロシアの軍事的脅威でスウェーデンが目を覚ました格好だ。
「ESGの土台は持続可能性です。外国に侵略されたら企業も株主もあったものではありません。今後は国際条約が禁じる毒ガスなどを作る企業でなければ、防衛産業もESGマネーの大事な投資対象になるでしょう」。日本の平和ボケ政党に教えてやりたい。
【2022年3月9日発行紙面から】