軍事のツボ

特別版3 ウクライナ戦争でロシア軍が犯した8つの間違い(上)1/4ページ

マリウポリでRPG-22とみられる対戦車ロケットを携行しているウクライナ兵(AP=共同)
マリウポリでRPG-22とみられる対戦車ロケットを携行しているウクライナ兵(AP=共同)

前回の当連載特別版2では、ウクライナを侵略したロシア軍は「重心」を見誤っており、そのために苦戦を強いられていることや、ウクライナ軍は市街戦に持ち込んで携帯式の対戦車ミサイルなどでロシア軍の出血を強いる作戦で長期化を図る戦い方をすればロシアは圧倒的に不利になること、ただしウクライナ側には非戦闘員の犠牲も多数出る可能性が高いことなどを論じた。そして現状では長期戦は避けられない戦況で、ロシア軍の誤算の多さが非常に目立つ。ロシア軍の犯した8つの間違いを考えたい。

1.侵攻自体が間違い

そもそもロシアにとってウクライナに軍を進める合理性が全くない。まず侵攻前にウクライナ東部のドンバス地方の2州を国家として承認したが、ロシアはウクライナが北大西洋条約機構(NATO)に加盟して自国とNATOの間の“バッファ”がなくなることを阻止するのが国家戦略。そしてNATOは国内に紛争を抱える国の加盟を認めていない。しかし東部2州が独立してしまえば、残りの大部分は「ウクライナ」として加盟できることになる。

また、ウクライナのNATO非加盟確約について、NATOは交渉のテーブルには着いていた。つまり軍事力をちらつかせて自国の主張を世界にアピールし、交渉を始めるという外交的成果を得ていた。

さらに、ゼレンスキー政権はロシアへの危機感を強調したことで、2月には経済への悪影響などから支持率が低下し“自滅”の可能性すらあった。しかし2州の独立承認で支持率は90%を超え、侵略によってウクライナ国民が強固に結束するという真逆の結果を招いた。

つまりロシアは侵略によりこうした「果実」をすべて失った。

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