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この連載のタイトルもそうだし、人生の3分の2はいやらしいことを考えてきたなんて常々、公言しているもので、ある小説誌から「官能小説を一度、書いてみませんか?」と、いうお誘いが5年くらい前にきた。
実は随分昔に『スレイヴ・オブ・ラブ』(文庫本で〝愛にこんがらがって〟に改題)というSM小説を発表していたが、僕はどうやらその官能というジャンルが得意ではないらしい。
すなわち、読者を〝濡れて立つ〟(BY・宇能鴻一郎)まで持っていくことが出来ないのである(あくまでまわりの評だけど)。「ダメじゃん、それじゃ」と、言われてしまえばそれまでだけど、肝心なエロ描写よりもその手前や後にある〝何でこんなことをやってるんだろう?〟という、後ろめたさ(僕はそれを〝後ろメタファー〟と呼ぶ)の方に重点を置いてしまいがちだからだと思う。
SM小説(もどき)を書いていた時、気が付いたことは、Sはサドじゃなく、サービスのSだってこと。本格Mの期待に答えるべく懸命に〝プレイ〟というサービスを施す主人公(ド素人S)が、気が付けば奈落のステージに堕されて―そんな話、勃たんな、やっぱ。いや、逆についつい調子に乗り行為に及んだが、後から縮み上がるくらいのホラーが待っているなんて話が書きたかったので仕方ない。