意外に思うかもしれないが、日本国内の乗用車保有台数は伸びている。2003年の5447万台に対して、20年は6180万台。また、平均車齢は、03年の6・39年から、20は8・72年へと大きく伸びている。
この流れがこれからも続くかどうかは分からないが、衰退していると思われる国内自動車市場はまだまだ大きいのだ。特に注目すべきは、「同じ自動車を長く大事に乗る」傾向が強まっていることだ。
車齢もそうだが、20年3月末の乗用車の平均使用年数は13・51年、貨物車は15・31年である。1982年にはどちらも8・67年であった。
この流れはさまざまなビジネスに追い風だ。ブロードリーフ(3673)のように、部品のデータベースに関わるビジネスが優位になるのは分かりやすい。使用年数が伸びた背景には日本車を中心とする品質向上で耐用年数が伸びたことがあるが、いくら品質の良い日本製でも、長く乗っている間には部品交換などのメンテナンスが必要になる。
Keeper技研(6036)も注目される。自動車を長く乗るためには、エンジンなどの部品も大事だが、コーティングなどで外観がきれいであることが重要だ。昔は、車体がさび付いたオンボロ車をよく目にしたが、さすがに現在では見かけることはほとんどない。
自動車の美観に対する要求水準が高くなったといえるが、逆にいえば「外観がきれいであればいつまでも乗れる」ということである。同社はスタッフの「技術教育」に力を入れているが、それが顧客の信頼を得ることにつながり、業容を拡大している。
同社の洗車には「純水手洗い洗車」というものもある。普通の水道水はわれわれが飲めるほどきれいだが、エイチ・ツー・オー以外の成分がわずかながら含まれている。半導体工場と同じような純水で洗車する徹底ぶりだ。
(人間経済科学研究所、国際投資アナリスト・大原浩)=敬称略
【2022年3月10日発行紙面から】