/cloudfront-ap-northeast-1.images.arcpublishing.com/sankei/D2VU6PH225JOXPX36QEBLUP6TQ.jpg)
司法書士法人松野下事務所、一般社団法人エム・クリエイトなどから構成される松野下グループ(東京都豊島区)では、生前対策・相続対策の手法として、家族信託のご相談が増えているという。その仕組みと活用事例について、中島寛之氏(司法書士)に話を聞いた。
◇
家族信託とは、「財産を信頼できる家族に託し、託された家族が信託の目的に沿って、財産の管理・処分を行う仕組み」で、財産を託す人を「委託者」、託される人を「受託者」、信託から利益を受ける人を「受益者」、託される財産のことを「信託財産」といいます。親(委託者)が、自らを受益者として、子(受託者)に財産管理を託すのが、最も一般的なケースです。具体的には、どんな場面で活用されているのでしょうか?
たとえば、「将来、自宅を売却し、老人ホームに入ろう」と考えていたとしても、その時にご本人が認知症になっていると、自宅が売却できない可能性があります。認知症などで判断能力が不十分な状態になると、自分の財産の管理や処分を単独で行うことができなくなってしまうからです。「銀行窓口で預金を引き出すことができなくなる」といった話もよく知られています。
このような「財産凍結」リスクに備える手段の1つとして、「家族信託」は活用されています。ご本人(委託者・受益者)が元気なうちに、お子さん(受託者)との間に自宅(信託財産)の財産管理・処分を託す契約(信託契約)を締結しておけば、将来、ご本人の判断能力が喪失しても、成年後見制度を利用することなく、自宅の売却が可能となり、売却代金から入居時の費用やその後の介護費用を支払うといった財産管理全般を受託者であるお子さんができるようになります。