新型コロナ自体、弱毒性のオミクロン株が主流となった。アメリカやイギリスでは、コロナ対策の制約を全廃したり、大幅に緩和したりしている。「普通の風邪」と同様に扱い始めた。
岸田文雄首相は何事も「人の話をよく聞く」ことを重視するので、欧米並みに規制を緩めるのはまだ先の話だろう。彼がよく話を聞いていそうな財務省の官僚は、財政支出を伴うコロナ対策には、全力を挙げて反対するはず。安倍内閣時のような大盤振る舞いはなさそうである。
さらに、世界情勢は大きく変動している。ウクライナ戦争はエネルギー価格のさらなる高騰を招いている。最近ではあまり目立たないが、中国の不動産バブルは着実に弾けている。世界経済に対するマイナス要因ばかりが目立っているのだ。
日本では「消費者物価2%上昇」を掲げて9年間続けられてきた「異次元金融緩和」が23年4月の日銀総裁交代で終了する可能性が高い。
すでにアメリカは利上げモードに入っており、EUも年内にはこれに追随するスタンス。世界的なインフレが利上げを促してもいる。
日本も来年春以降、小幅ながらも利上げが行われる可能性が高そうだ。金利が上がれば、不動産価格が下がるのは経済のセオリーである。
このように、内外の情勢を見渡して不動産価格が今以上に上昇する材料は少ない。唯一の光明は、コロナが収束すればインバウンドが戻ってきそうなことくらい。これも中国のゼロコロナ政策が続けば、どうなるかは分からない。中国からのインバウンドが復活するのは、早くても1年以上先になるのではないか。
となれば、将来売却する予定の不動産は今のうちに売っておく方が賢明である。市場の下落は早ければ今年の後半あたりから始まるかもしれない。