そんな経緯を話しながら、深野アナは速報を誇るのではなく、「早めに安心情報を伝えられたのは良かった」と話されました。この言葉を生放送で聞いたときに、私は衝撃を受けました。
これだけ大きな地震が起こると、被害の大きさなど、とかくセンセーショナルな事象を優先して報じがちです。
しかし、本来大切なのはリスナーが知りたい情報を正確かつ迅速に届けること。深野アナはさらりと「ラジオの災害報道はどうあるべきか」を示してくれたのでした。
今回の地震でセンセーショナルに報道されたのは、脱線した新幹線でした。営業運行中の新幹線が地震で脱線したのは、2004年の新潟県中越地震での上越新幹線以来です。そこで、「教訓が生かされていない!」という声が上がりました。
ただ、そもそも鉄のレールの上に鉄の車輪を乗せて走る鉄道で、脱線自体を完全に防ぐのは構造上難しいというのが、中越地震の教訓でした。そこで、脱線しても転覆せず、対向する線路を支障せず、派生して起こる人身事故を防止するための逸脱防止ガードなどが取り付けられたのです。
乗客の証言によれば、列車は停止した後に地震動によって脱線したようです。今後の検証が待たれますが、むしろ教訓はある程度生かされていたのかもしれません。
センセーショナルな報道よりも安心報道。改めて肝に銘じたいと思います。