
自民、公明、国民民主3党は23日午後、燃油価格高騰対策に関する検討チームの初会合を国会内で開く。国民が与党に要請したガソリン税の一部を減税する「トリガー条項」の凍結解除について協議する。ロシアのウクライナ侵攻の影響で、原油価格がさらに高騰する懸念が強まるなか、国民生活や企業収益を守る早急な対策が必要だ。
「地方の住人にとって、車は不可欠の移動手段であり、燃料の値上がりは死活問題だ。元売り業者に補助金を入れるより、減税分が直接国民に還元される『トリガー条項』の方が明らかに求められる」
経済ジャーナリストの荻原博子氏はこう語った。
検討チームは、各党で税制調査会幹部を務める自民党の加藤勝信前官房長官と、公明党の伊藤渉政調会長代理、国民民主党の大塚耕平政調会長が参加。23日の会合では、各省庁から原油価格の現状や、トリガー条項の仕組みについて聴取する方針だ。
トリガー条項は、ガソリン税の上乗せ分(1リットル当たり25・1円)の課税を停止して、その分を減税する施策。東日本大震災(2011年)の復興財源確保のため凍結されている。
政府は現在、元売り各社へ補助金を支給することで、ガソリン価格などの急騰に歯止めをかけようとしているが、価格高騰は止まらない。このため、トリガー条項の凍結解除が注目される。
ただ、一長一短もある。
トリガー条項の発動が1年間続けば、国と地方で合計1兆5700億円程度の税収減が見込まれる。さらに、解除後には1リットルあたり約25円の値上がりし、ガソリンスタンドが混乱するリスクをはらむ。
前出の荻原氏は「もはや発動のリスクを指摘することはナンセンスだ。アベノマスクなど、税金の無駄遣いをさんざん指摘されている。なぜ効果のある政策を渋るのか」と訴えた。