この年、佐藤栄作内閣に降りかかった一連の政界汚職事件である。国有地の払い下げに関する恐喝事件、製糖会社への不正融資事件、「ひとつぐらいいいじゃないか」とのことばを残して自分の選挙区に急行停車駅を新設した荒船清十郎など、次々と不正事件に関する大物政治家の名前があがった。
一連の闇は、昭和35(1960)年に発表された作家、松本清張のノンフィクション『日本の黒い霧』になぞらえ、「黒い霧事件」として報道された。のち、佐藤内閣は衆議院を解散。これは黒い霧解散と呼ばれた。
この年の主な事件は、「全日空機、羽田空港着陸直前に東京湾に墜落。乗客乗員133人全員死亡」「富山県、全国初の登山届出条例制定」「住民登録集計による総人口が1億人を突破」「日産自動車とプリンス自動車工業、合併に調印」「アメリカ原子力潜水艦、横須賀に初入港」「ビートルズが来日、日本武道館で公演」「閣議、新東京国際空港を千葉県成田市三里塚に建設決定」「全日空YS11型機、松山空港で海上に墜落、乗客乗員50人全員死亡」など。
この年の映画は『白い巨塔』。テレビは『ウルトラマン』。遠藤周作が小説『沈黙』を発表。交通事故死亡者総数は1万3319人で史上最悪となり、交通戦争激化が叫ばれた。巷ではフォークソング・ブームが起こっていた。
政界の不正は今も昔も存在する。メディアの発達、インターネットによる告発手段の多様化を経た半世紀後の日本。政界を覆う黒い霧は少しは晴れたのであろうか。 =敬称略 (中丸謙一朗)
〈昭和41(1966)年の流行歌〉 「柳ヶ瀬ブルース」(美川憲一)「バラが咲いた」(マイク真木)「こまっちゃうナ」(山本リンダ)