自民党は改憲4項目を提示し、改憲議論を推進しようとしている。すなわち、「憲法9条への自衛隊明記」「緊急事態条項の追加」「参院選挙区の合区の解消」、そして「教育の充実」である。このように自民党が改憲案を具体的に示して、憲法議論を進めていくことを大いに歓迎したいし、期待したい。
しかし、改憲の中身については、「時代の変化に対応して改正していかなければならないもの」と、「憲法そのものが、そもそも抱えていた矛盾あるいは問題点を根本的にただすこと」の2種類があり、これらは区別すべきだと考えている。
すなわち、「緊急事態条項」「合同解消」、そして「教育の充実」は時代の変化に応じて変えるべきものだが、「憲法9条の問題」は、憲法が制定されたときから抱えていた矛盾であり、時代が変わったから改正するものではない。
私が防衛大学校に入校した昭和48(1973)年には、地対空ミサイル配備に関連した住民訴訟で「自衛隊違憲判決」が下された。これから自衛官の道を歩もうとする私にとってはショッキングなできごとだった。憲法9条の問題は、国の基本、あり方の問題として捉えるべきである。
保守と言われている人にも2種類あると思っている。
今まで、憲法に1ミリも手を付けられなかったのは、立憲民主党、共産党、社民党などの革新陣営が立ちはだかったというよりも、「保守護憲」という分厚い層によるところが大きいと思う。