こうした業者に回らず埋め立て処分される例も多いとみられ、環境省は22年度、聞き取りの対象を解体、撤去業者にも広げる。流通や処理実態を把握し、リサイクル徹底に向けた法整備も視野に対策を検討する方針だ。
国のエネルギー白書では、09年度に284万キロワットだった太陽光発電の導入量は、19年度に5901万キロワットに達した。脱炭素化に向け政府が後押ししており、パネルはさらに普及する見込みだ。
埼玉県は20年、産業廃棄物処理や解体、撤去、リサイクルなど関連業者でつくる協議会を設立した。県担当者は「埋め立て処分場の逼迫を防ぐため、業者間で連携する処理ルートを構築しておきたい」と強調する。
大量廃棄をビジネスにつなげようとする動きもある。パネル製造販売の新見ソーラーカンパニー(岡山県新見市)は高温の水蒸気を用い、ガラスや銅線などを分離する装置を開発した。再資源化率は約95%で、22年度内の発売を目指す。国内の他、アジアや欧米からも引き合いがあるという。
佐久本秀行社長は「再資源化された材料を使った『再生パネル』を、5年後をめどに製品化したい」と意気込む。
中部大の細田衛士教授(環境経済学)は、欧州では着実にリサイクルへつなげる法令が整備されているとして「国は新法制定も見据えた議論を急ぐべきだ」としている。
【太陽光パネル】太陽の光エネルギーを電力に変換する板状の設備。重量の約7割を占めるガラスの他、アルミ、銀、銅などが使われる。鉛やカドミウムなど有害物質を含むタイプもある。環境省の処理指針は、中古販売での再利用を優先し、故障していれば分解、再資源化した上で廃棄するよう促している。2018年には将来的なリサイクル義務化の検討を明記した計画を策定した。