いつも言うことだが、順位戦というのは川の流れに逆らって、どこまで上流に向かって泳いでいけるかという棋戦である。その伝で言えば、C級は比較的、川の下流に位置する戦いだが、人数が多いだけに一旦抜けるチャンスを逃すと、永久に上がれなくなる。
これまでも、次点を何回か繰り返すうちにチャンスを逃し、次第に降級点を取るようになって降級していった棋士を、数多く見てきた。
ただしトップを目指す若手にとっては、単なる通過点ではあるが、一流棋士の多くがC級で何年か苦労し、B級から上はノンストップという棋歴を持っている。
例えばA級まで5年で上がった谷川浩司九段、藤井聡太五冠は、いずれもC級で1年足止めされているし、羽生善治九段、佐藤康光九段や森内俊之九段らに至っては、C級を抜けるのに何年もかかっている。
今期のC級1組は、まず大橋貴洸六段が9勝1敗で、2年連続の昇級。彼は本欄で何度も紹介した7割バッターで、藤井五冠にも勝ち越している実力者である。
次に詰将棋が得意で、安定した実力者の及川拓馬七段が8勝2敗での昇級。そして昇級3人となった最後の枠に、飯島栄治八段が滑り込んだ。