専用の治療機器を使って糸でしばるだけなので、操作は簡単で手術時間も治験では1時間以内(慣れれば30~40分)と短い。欧米では、ほとんどが局所麻酔のみで行われているという。
それに従来の手術療法は前立腺組織を除去するので、手術中に出血や穴が開く穿孔(せんこう)などのリスクがある。一方、PULは前立腺被膜に針をかけるだけなので、出血があったとしても針による少量の出血だけだ。
また、前立腺肥大症の手術後は通常、2~3日の尿路カテーテル留置(尿道に細い管を入れておく)が必要になる。このカテーテル留置もPULの場合は、治験では68%が不要で、必要としても留置期間は平均1日未満と報告されている。
「このように従来の手術療法よりも低侵襲なのがPULの特徴ですが、術後に性機能にほとんど影響を与えないことも大きなメリットです。従来の手術は膀胱頸部を削るので、精液が膀胱に逆流する射精障害が65~80%に起こります。それがPULでは膀胱頸部を触らないので、射精障害は起こりません。ED(勃起障害)のリスクもほとんどありません」
まだ性生活が活発で性機能温存を重視するなら、最初に検討したい手術療法だ。 (新井貴)
(この画像はテレフレックス社の許可を得て掲載しています。©2022Teleflex Incorporated. 無断複写・転載を禁じます)