サクラと星条旗

華々しい巨人のON時代到来を楽しんだ1962年「キューバ危機」 いま世界は「あの時と似たようなことを経験している」3/3ページ

また、必要性が確認された時にはミサイル基地を爆撃する計画も立てられた。フルシチョフはケネディに書簡を送り、海上封鎖を「人類を世界核戦争の絶望へと突き動かす侵略行為だ」と非難した。

苦しい膠着状態が続き、緊張状態は一気に高まっていた。世界のこちら側でロシアと中国の動きを監視する我々も、何らかの攻撃が差し迫っているという確信を強めていた。日本、アメリカ、そして世界中の人々が固唾をのんでニュースを見守った。基地内では米国人も日本人も、不気味なほど感情を押さえ込んでそれぞれの任務にあたっていた。

最新ニュースを逃さぬよう日本製トランジスタラジオを耳にあてながら。デイルームにはテレビが設置された。

膠着状態に入った直後、電子諜報センターの指揮官、海軍大将が我々を一堂に集め、皆が息を詰めて待つ中、状況を説明した。

「これは訓練ではない」。彼は重々しく口を開いた。「我々がいま直面している危機はどんなに大げさに言っても言い過ぎではない。核戦争の危険性が目の前に迫っている。全員一斉にあの世に吹き飛ばされるかもしれない。手紙を送りたい相手がいるなら今書くことを勧める。この先二度とその機会はないかもしれない」

その時、ソ連もほかの誰もが知らなかった事実がある。アメリカもまた、ソ連がキューバに配備したものとよく似た弾道ミサイルを沖縄に配備していたのだ。全8基、半年前にトラックで運ばれ地下のミサイル基地に隠してあった。TMAHORN Maceとラベルが貼られたミサイルは、全長13メートル、重さ8トンで、それぞれ1・1メガトンの核弾頭を搭載していた。

射程圏は短めながら、ウラジオストク、そして中国も射程圏内だった。基地の人間の多くは、沖縄のMaceが上海と北京を壊滅させ、その報復として沖縄県民90万人が攻撃を受け、さらに大阪、東京にも攻撃の手が及ぶ可能性は十分あり得ると考えた。電子諜報センターは当然真っ先に狙われるだろう。

しかし幸運にも我々の知らぬ間にケネディとフルシチョフが裏ルートで交渉を進めており、最後には正気が勝った。10月28日、2国の指導者は合意した。ソ連は国連の監視下でキューバのミサイルを解体してソ連に送り返すこと。それと引き換えに米国は今後キューバに侵攻しないと宣言すること、そしてトルコとイタリアに配備されている米国製ジュピター中距離ミサイルを内密にすべて解体すること。

(それに加え、2人の対話のもう一つの成果物として、ワシントンD.C.のホワイトハウスとモスクワのクレムリンをつなぐホットラインが開設された)

いま世界はあの時と似たようなことを経験している。ロシアはウクライナのNATO加盟を阻止するためにウクライナに侵攻し、二度目の核クライシスの脅威を引き起こしている。

歴史は確かに、韻を踏む。多少形を変えて。

友人で軍事専門家のヒロキ・アレン氏はこう話す。「ロシアが極度に追い込まれた場合、小型の戦術核兵器の使用に踏み切るかどうかは50/50だと思う。米国は戦術核兵器をほぼ全面撤去したため、ロシアの核砲弾のようなものに対する反撃が難しくなっている」

彼はこう続ける。「比例報復(proportional response)」は、これをある種の「社会正義」だと言う者たちが生み出した愚かな行為である。社会正義とは、卑劣な共産主義を別の言葉に言い換えたに過ぎない。挑発行為に対する報復措置は、相手の行為を大きく上回るものでなければ、信頼できる抑止力として機能しない。

ON、オリンピック、ウクライナよ、永遠なれ。

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