
玉野競輪の開設71周年記念(GⅢ・瀬戸の王子杯争奪戦)は29日、第12Rで決勝戦が行われ、脇本雄太(福井)が豪快まくりで快勝。通算300勝で昨年9月向日町以来、9回目のGⅢ優勝に花を添えた。大会連覇を狙った松浦悠士(広島)が2着、3着には吉田拓矢(茨城)が入った。
レースはまず、スタート牽制から脇本が前を取らされる形で始まった。吉田が斬った上を中国ラインの先頭・山根将太(岡山)が鐘前2角から猛然とカマシ先行。しかし、脇本は間髪入れず鐘3角からロングスパートで逆襲。山根マークの松浦がブロックから番手まくりに出たが、それを力強く乗り越え包囲網を切り裂いた。
「前受けの時点からあの展開は目に見えていた。どれだけ腹をくくれるかの勝負だと。まくりに構えると二の舞、三の舞になりかねないので、後悔のないように仕掛けようと思った」
長欠から戦線復帰後も圧倒的なパワーで常勝の期待を背負いながら、奈良記念決勝やウィナーズC決勝では松浦を軸としたラインの〝組織力〟に煮え湯を飲まされてきた。それだけに「かなり疲れがたまっていた」と満身創痍ながらも、今回は期するものがあったはず。「リスクのある仕掛けだった。限界ギリギリで最後の力を振り絞った。紙一重の勝負だと思っていた」。自らを信じて息詰まる攻防を制した主役は誇らしげに胸を張った。
「ダービー(GⅠ日本選手権)につながるいいレースができた。今回で多少得られたものもあるけど、それに満足せず、この感触を忘れずに備えたい」
誰しもが認める最強レーサーにとって、記念Vも通算300勝も通過点のひとコマ。輝きを増す〝ワッキー〟が、今後も力強く輪界をリードしていく。