なんていうことのない話の連続と思うが、ちゃんと人生の奥深さが描かれている。最初に住んだアパートはすぐ脇を電車が通るたびに部屋が揺れるという設定だから京王線沿線に違いない。次に住んだのは新宿区柏木。家同士が接近していて政行が隣の家に飛び移るシーンがある。3回目の引っ越しは赤ん坊が生まれるということでのどかに暮らせる地域(調布)と設定。最後は下町、葛飾区の長屋のようなところ。ロケハンには苦労したらしい。
それにしても登場人物にかぐや姫のメンバーを起用せずになぜ山本コウタローなんだという批判もあった。そのコウタロー、劇中でセリフはまったくなし。ファンの目には不可解と映った。一方チョイ役だったが樹木希林の存在感はさすがと噂された。
この年のキネマ旬報ベスト9位に入っている。 (望月苑巳)
■赤ちょうちん 1974年3月23日公開。監督・藤田敏八、脚本・中島丈博/桃井章。出演は高岡健二、秋吉久美子ら。主題歌はかぐや姫「赤ちょうちん」。