投資というのは「総合芸術」だというのが筆者の考えである。バフェットが研究・調査にひたすら励むのも、投資には「幅広く、なおかつ掘り下げた知識」が必要不可欠だからだ。そのため、投資を行う「人間」についても深く知るべきだといえる。
バフェットが師匠のベンジャミン・グレアムから教わった2つの重要事項がある。1つは「安全余裕率」という自動車のハンドルの遊びのような概念で、どのような時でも「十分な余裕を持ってまさかの事態に備える」ということだ。
もう1つが「ミスター・マーケット」という市場を擬人化した概念だ。このミスター・マーケットは、相場が上昇すると有頂天になって浮かれ騒ぎ、高値で買い続ける。逆に相場が下落すると、まるでこの世の終わりがやってきたかのように落ち込んで、高値で買い込んだ資産(株式)を安値で売り払う。読者の周辺に思い当たる人物はたくさん存在するであろう。