消費者物価指数は2月に前年同月比0.6%上昇した。携帯電話料金の値下げを除けば、日銀が2013年以来の政策目標としてきた2%を初めてクリアしたとみられる。しかし、日銀関係者は「ウクライナ問題という特殊要因が大きく、脱デフレを高らかに宣言する状況とはほど遠い」と話す。
5月下旬に発表される4月の統計では、携帯電話の値下げの影響が消え、物価上昇率の2%突破が濃厚だ。金融市場では、批判の強いマイナス金利終了の口実とみる向きもあるが、日銀は静観の構えを1ミリも動かしたくない様子。
先の日銀関係者は指摘する。「マイナス金利政策の打ち切りは不可能ではありません。しかし、ウクライナ問題が収束すれば原油など資源価格はロシア侵攻前の水準に急落し、日本の物価が下落に逆戻りする可能性もあります。その際、マイナス金利終了が時期尚早だったと叩かれるのは目に見えていますよ」
ただ、金融政策には二枚舌が必要な局面もある。物価が下落してもウクライナ問題による特殊要因とする手も日銀にはありそうだ。
【2022年3月25日発行紙面から】