八甲田山遭難から120年、伝えたい「本当のこと」 旧陸軍199人死亡、映画にもなったロシア戦想定の雪中行軍1/2ページ

青森市街から眺めた八甲田山=25日
青森市街から眺めた八甲田山=25日

八甲田が猛吹雪の1月末、陸上自衛隊第5普通科連隊(青森市)の約470人はスキー板をはめ、麓の約7・5キロを歩いた。汗による凍傷を防ぐため、身に着けるのは速乾性の衣服。頰を赤くし約20キロの荷物を背負い、ストーブなどを積んだ約80キロのそりを4人一組で引っ張る。

体感温度は氷点下22度。雪は柔らかく一歩間違えば穴に埋まる。同行した記者が撮影のため手袋を外すと、指の感覚がなくなった。

日清戦争後、日本軍はロシア軍の青森上陸を想定、八甲田を越えられるか訓練を計画。1902(明治35)年1月23日早朝、青森歩兵第5連隊の大隊210人は青森市の兵営を出発した。途中、同行の軍医が天候不良を理由に中止を進言したが、将校の間で結論が出ず、下士官らの意見をくみ行軍を続行。歴史的大寒波により遭難し、199人が死亡した。多くは岩手、宮城の出身者だった。

戦後、小説「八甲田山死の彷徨」(新田次郎著)が出版され、77年には高倉健さん主演で映画「八甲田山」になった。映画の影響や生存者の証言から、計画立案者の神成文吉大尉が指揮官で、同行した上官が口を挟み、事態を悪化させたと思われてきた。

八甲田山雪中行軍遭難資料館(青森市)のガイドで、資料を一冊にまとめた加藤幹春さん(72)は「大隊という編成上の指揮権は上官にあり、隊に乱れはなかった」と指摘。風への対策不足が被害を大きくした一番の原因だとする。方向を見失った上、雪上でおこした火も消え、体を暖めるための足踏みなど、体力を消耗した隊員らは次々と倒れていった。

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