去年出た本ですが、ようやく読み始めたのが『談志の日記1953 17歳の青春』です。言わずと知れた私の大師匠、家元・立川談志の本です。亡くなって10年たちますが、新刊です。何せ、これは家元が入門直後17歳のときに書いた日記なのです。
天才・立川談志。天才とはどういうことか? と考えましょうか。才能がある、ということなら間違いないでしょう。見たり聞いたり読んだものをすぐ再現できる能力。要するに、一度聞いた落語はそのままそっくりできるなんてお茶の子さいさいなんですね。これはうちの師匠や談春師匠にもあります。芸人として激しく悔しいのですが、私にはごく小さくしかない…。
それに加え、物事を論理的に考えられる能力など、家元にはすごい部分がたくさんあります。そんな才人の17歳時代がどんなだったのかというと、私とあまり変わらないのです(能力以外ね! 悔しい…)。大人たちの言うことに腹を立て、女性が恋しいが、なかなか積極的になれずうまくいかなかったり、色々なことに迷いに迷っているのです。『ライ麦畑でつかまえて』の主人公が寄席で修行しているようなもんですよ。
あの立川談志が「女友達がほしい」と書いているのです。もちろん、それでいながら「俺は上手い!」と書いたと思ったら、急に「意欲がなくなってきた」などと言ったり。もともとセンチメンタルな部分があるのを隠さなかった大師匠ですが、この日記にはセンチメンタルがぎゅっと詰まっていて、いろんな感情が混ぜこぜになりますな。
伊東ナイター2日目12Rの新田も、17歳のころは女性と付き合いたくてうずうずしていたんだろうか? 新村を使って追い込む新田から瀬戸内勢へ流す〔3〕↔〔4〕―〔2〕〔7〕、〔3〕↔〔2〕―〔4〕〔7〕。
競輪選手も新田選手のようにアナウンサーと結婚できるんだと、17歳のときに知っていたら、私も選手になってたかも?(落語立川流真打)
■立川志らべ(たてかわ・しらべ)1975年9月3日生まれ。静岡県伊豆の国市出身。落語家。2000年に立川志らくに入門。07年に二ツ目昇進。18年10月に真打昇進。趣味は音楽鑑賞、サッカー観戦。競輪の造詣が深く、好きな選手は村上義弘(京都・73期)。本紙競輪面にコラム『真打 志らべの口先先行一車』を連載中。