はじめまして! この連載を担当する田中靖浩です。まずは自己紹介がてらごあいさつを少々。
私は「公認会計士兼作家」の肩書を名乗っています。「公認会計士」と「作家」の組み合わせは珍しいようで、よく驚かれます。
読者にこっそり白状しますと、ずっと会計の仕事が苦手でした。計算が合わないし、合わせようという気力もない。向いていないのは明白ゆえ、早々に脱出をはかり、なんとか作家稼業に活路を見いだしたというのが正直なところです。
最近は会計や経済といった堅めのテーマに、歴史や絵画など柔らかなテーマを組み合わせた本を書き、講演・セミナーを行っています。そんな私ですが、自分としては「会計業務から落ちこぼれた」感が強いのは事実。
そんなふうに落伍者を自認していた私にとって、意外すぎる「追い風」となったのが昨今のAIブームです。人工知能にとって会計計算は一番の得意分野。その登場によって「会計士や税理士はAIに仕事を奪われる」といった恐ろしい噂が流れはじめたのが数年前。
その頃からでしょうか、私が後輩会計士たちから「文筆業への華麗なる転身」とヒーロー扱いされはじめたのは。そうじゃなくて逃げただけなんだ、といってもなかなか理解してもらえず、むず痒い思いをしています。
AIの登場にキャッシュレス、どんどん進むDX(デジタル・トランスフォーメーション)の波。先が読めなくなってきた政治や経済。そしてグローバル化の止まらない金融マーケット。