ドクター和のニッポン臨終図巻

作家・宮崎学 最期の著書『突破者の遺言』でヒステリーがヒューマニズムで偽装 「キレイな社会」に危機感1/2ページ

宮崎学さん(作家)
宮崎学さん(作家)

「あのキツネ目のオッサン、亡くなったんか」と往診先のお宅で流れていたテレビを見て呟いたら、新人のナースにポカンとされました。グリコ森永事件を知らないそうです。この昭和史に残る未解決事件で指名手配された「キツネ目の男」に似ていたことから注目を集め、日本社会の表と裏を書き続けた作家の宮崎学さんが群馬県内の高齢者施設で亡くなりました。享年76。死因は老衰との発表です。

年をとって徐々に食べる量が減り、枯れるように終わる自然な死を老衰死と診断しています。明確な定義はありません。そのため、「老衰は病名でないから、死亡診断書に書いてはならぬ」と僕らの世代は教わりました。どんなに穏やかな死であっても、「多臓器不全」「心疾患」などの病名を書けと。しかし今や、がん、心疾患に続いて老衰死は日本人の死因第3位。老衰死=大往生という理解が、日本人に根付いてきた証左でしょう。

しかし、読者の皆さんは疑問に思われたはず。76歳で老衰? 早すぎないか、と。確かに、老衰は80代以降、平均寿命を超えたあたりから見られる兆候です。しかし、70代であっても「老衰死としか言えない死」があるのは事実です。

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