ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、難航するウクライナ侵攻を統括する総司令官に、アレクサンドル・ドゥボルニコフ将軍を任命した。CNNなどが報じた。内戦下のシリアで軍事作戦を指揮し、市街地への爆撃などで多くの民間人を虐殺したとされる人物だ。ウクライナ軍の必死の抵抗と、西側諸国の軍事支援・制裁強化で、首都キーウ(キエフ)周辺から撤退したロシア軍だが、プーチン氏は5月9日の「独ソ戦・戦勝記念日」までに具体的成果を得るため、東部地域などで大攻勢をかけるとみられる。さらに残虐行為を続けるのか。ウクライナ侵攻の現状と今後の展開、日本の役割と世論などについて、東京外国語大学の篠田英朗教授(国際政治学)が考察した。
ロシア軍は当初、短期決戦による勝利のシナリオを描いたとみられるが、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領が鼓舞するウクライナ軍の抵抗で、想定外の長期戦にもつれ込んでいる。
東京外国語大学の篠田教授は、現状を次のように解説する。
「ロシアという軍事大国が、中堅国のウクライナに攻め込む構図はまれな事態だ。当初軍事専門家が圧勝すると予測していたロシアは軍隊や政治機構の脆弱(ぜいじゃく)性が浮き彫りになった。ウクライナは善戦を見せ、(ゼレンスキー氏の演説などを通した)知的な能力の高さも垣間見えた状況だ」
岸田文雄首相は8日、ロシアへの追加制裁として、「国際銀行間通信協会(SWIFT)からの排除」「ロシア産の石炭輸入禁止」や「最大手銀行のズベルバンクとアルファバンクの資産凍結」「外交官追放」などを発表した。ここまでの日本の役割をどう見るか。