3月下旬に勤めていた女子大学の学位記授与式(卒業式)が体育館で行われた。この3月で退任する私もこの日に卒業となった。
新型コロナウイルス感染対策から午前と午後の2回に分けて実施された。また卒業生1人につき保護者などの出席は2人までに制限された。式に参加する教職員も一部だけに限定したうえで、式典の模様は自宅でも見ることができるようにライブ配信も行われた。一昨年は卒業式自体が実施されず、昨年は保護者などの参加はなく学生だけだったのでコロナ禍への対応も少しずつ進んでいる。
今年の卒業生は学生生活の半分はコロナ禍に振り回された。Zoomや授業のサイトを活用しながらのリモート授業が多く、自宅にこもって課題を延々とこなすこともあった。当然友人と学内で会える機会も限られた。教員の側も手探りで進んでいたので学生の状況を十分に把握できていないこともあった。彼女たちは大変な時期を過ごしたのである。
卒業式が終わると、学科ごとに教室に集まって担当の教員から卒業証書を一人一人に手交した。私は初めの学生には名前を呼び、卒業証書に書いてある文章を読み上げた。次の学生からは「以下同文」が一般なのだが、それでは何か素っ気ない。そこで「テニス部の活動と学業を両立させた」とか「和菓子と洋菓子の違いを取り上げた卒業論文は素晴らしかった」などのコメントをあたかも卒業証書に書いているように読み上げながらゼミの一人一人に渡した。初めは、「卒業証書にそんなの書いているの?」という反応だったが、すぐにアドリブだとわかって笑ってくれた。