ロシアはピーク時、サリンやマスタードガスなどの化学兵器を世界最多とされる約4万トン保有していたという見方もある。
軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏は「ロシアは公式には化学兵器を『廃棄した』と主張しているが、誰も信じておらず、隠し持っている可能性が高い。2015年にロシアが介入したシリア内戦でも、化学兵器の使用疑惑がある。ロシア側が支援するアサド政権軍を介して使用した可能性も否定できない」と語った。
■元陸自・吉野氏「露軍は民間人の犠牲を避けていない」
ウクライナ侵攻が難航するなか、プーチン氏は軍事作戦を統括する総司令官に、アレクサンドル・ドボルニコフ司令官を任命したと報じられた。ドボルニコフ氏はシリア内戦を指揮して多くの民間人が犠牲となり、「シリアの虐殺者」と恐れられた。
ロシア軍は今後、生物・化学兵器を使用するのか。
吉野氏は「ロシア軍は民間人の犠牲を避けていないようだ。化学兵器使用のハードルが下がっているのではないか。ただ、戦争で使用することは条約違反であり、戦争犯罪だ。非人道的な兵器なので、国際社会も許さないだろう」と語った。