ジョー・バイデン米大統領は12日、ロシアによる民間人に対する残虐行為について「ジェノサイド(集団殺害)」と初めて言明した。
これに対し、プーチン氏は12日、ブチャの虐殺はウクライナ側の「捏造(ねつぞう)」だと主張、これが停戦交渉を後退させているとも主張した。
ロシア側は民間人の虐殺など戦争犯罪行為について一貫して否定している。逆にウクライナ兵が捕虜のロシア人兵士を虐待する様子としたSNS上の動画についてロシア当局が調査すると発表した。ウクライナ軍の最高司令官は「ロシア側の捏造だ」と反論する。
ウクライナからの避難民に関してもネガティブ情報が流された。ドイツの警察は、16歳の若者がウクライナ人に殴打され、死亡したという動画について、「憎悪をかき立てることを目的とした意図的な『偽のビデオ』であると想定している」と発表した。
軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏は「ロシアは情報戦が得意で、冷戦期も米中央情報局(CIA)の陰謀などを発信し、西側のメディアやオピニオンリーダーを動かしたこともある。今回も複数の偽アカウントをお互いに引用するなどしてウクライナに不利な情報を流し、国際世論の同情を買おうとする目的だろう」とみる。