もう一つは、米英豪カナダ、ニュージーランドの5カ国による〝機密情報同盟〟である「ファイブ・アイズ」への参加だ。こちらは、英国が一時、日本の参加に前向きと伝えられたが、進展していない。スパイ防止法がないなど、日本の機密保持体制に対する不安が理由だろう。日本は早急に体制を整備すべきだ。
日本が多国間の枠組みに加われば、アジアの他の国にも刺激を与える。とりわけ、インドだ。インドは日米豪との戦略的枠組み「QUAD(クアッド)」の一員でありながら、国連安全保障理事会と総会では、中国同様、ロシア非難決議に棄権し、対露制裁にも加わっていない。
西側の一員として、自由と民主主義の旗を高く掲げる。それが、アジアにおける日本の役割である。
■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革会議委員などの公職も務めた。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア―本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。ユーチューブで「長谷川幸洋と高橋洋一のNEWSチャンネル」配信中。