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日本で唯一の自然科学の総合研究所、理化学研究所(理研)で、有期契約で働く研究系職員約600人が来年3月末で雇い止めにされる恐れがあると労働組合などが訴えている。日本の科学技術研究の現場に起きている問題は〝氷山の一角〟のようだ。
理研労組によると、2023年3月で、10年の雇用上限を迎える研究系職員297人が雇い止めにされるという。この中には研究室の主宰者が60人以上含まれるため、「研究チームの解散などで、さらに約300人が職を失う」(労組)とされ、計約600人の職員が雇い止めされる見通しだとする。
大量雇い止めの背景にあるのが、13年4月に施行された改正労働契約法だ。有期労働契約が繰り返し更新され通算5年を超えたとき、労働者は期間の定めのない無期労働契約に転換できるというもの。研究者などは特例として無期契約に転換するまでに通算10年を要する。
理研では、改正法が施行された13年を起点に、非常勤職員の雇用上限を5年、研究職の上限を10年とする制度を導入した。18年3月末にも大量の非常勤職員が雇い止めされる恐れがあるとして、理研労組が東京都労働委員会に不当労働行為の救済申し立てを行った。今回は、23年に上限を迎える研究職が同様に不服を訴えた格好だ。
理研労組の組合員は「理研の中長期計画は7年間で、現在は5年目にあたる。ここで雇い止めされると計画が頓挫し、新しい職場が決まっても積み重ねた研究をそのまま生かせる保証はない」と強調する。