歴史をひもとけば、独裁者はみなパラノイア(妄想症)と言える。日本史においても、豊臣秀吉が朝鮮半島経由で明国を滅ぼし、アジアの盟主になろうとしたことは、当時の現実を無視した妄想という見方もある。
パラノイアになると、人は常に他人が自分を批判しているという妄想を抱く。それが昂(こう)じると統合失調症になることもあり、言動は支離滅裂になる。
パラノイアの特徴は、一つの妄想をもとにして次々に妄想を拡大し、その世界の中で、自らを神、あるいは神に選ばれた特別な人間と思い込むことだ。ただ、こうしたパラノイアの言動は首尾一貫しているから、傍目にはわからない。
ロシアのプーチン大統領がパラノイアであるかどうかはわからない。ただ。彼が信奉する「大ロシア主義」は、一種の妄想の産物と言えるので、彼はパラノイアかもしれないと私は考えている。
パラノイア人間の特徴として、自分は偉い人間、選ばれた人間と思い込むことがある。このようなタイプの人間は、会社や地域社会でもよく見かける。いまの日本にもこうした人間は数多く存在する。会社や組織の長になると、勝手に自分は偉い人間だと思い込んで指図する。