写真展の初日、40歳になった鈴木亜美は3人目の子供を宿した姿で取材陣の前に現れた。笑顔で質問に答える姿はあのころのまま。発言からは、いい年の重ね方をした人の考え方が浮かび上がった。
「どんな40代にしたい?」と質問された際、こう答えた。
「楽しいことをしていたいのですが、周りの人たちを大切に。家族やスタッフさんを含めみんなが幸せじゃないと自分も幸せになれないので」
何気ない発言だったが、自分より周囲、つまり利他の精神を感じさせる深いひと言と受け止めることができる。
仕事に関しては「お話をいただいて成り立つことなので、自然に任せていく感じですね」とジタバタしない達観性を示し、家族については「子供の数だけ幸せもある」と名言を連発した。
一方で、大家族になる可能性を聞かれると「辻(希美)ちゃんに任せたい」とオチもバッチリ。トーク術にもかなりの成長を感じさせる、大人・鈴木亜美だった。 (演芸評論家/エンタメライター)
■渡邉寧久(わたなべ・ねいきゅう) 新聞記者、民放ウェブサイト芸能デスクを経て演芸評論家・エンタメライターに。文化庁芸術選奨、浅草芸能大賞などの選考委員を歴任。東京都台東区主催「江戸まちたいとう芸楽祭」(ビートたけし名誉顧問)の委員長を務める。