ネット通販の利用者が増えるなか、本物そっくりの悪質な「偽サイト」の通報件数が急増している。商品が届かない被害のほか、クレジットカード情報が盗まれる恐れもある。日本のカード情報は闇サイトで世界最高値で取引されており、犯罪組織のターゲットとされつつある。どうやって身を守るのか。
金融機関やインターネット関連企業でつくる「日本サイバー犯罪対策センター」は、悪質な通販サイトに関する通報が2021年に1万7717件あったと明らかにした。前年から約1・7倍に増えたという。
悪徳商法に詳しいジャーナリストの多田文明氏は、「コロナ禍で通販利用が増えていることも確かだが、SNS利用者が年々増加していることも関係しているようだ。最近の偽サイトはSNSに流れる広告から誘導するタイプの手口が増えている」と解説する。
日本サイバー犯罪対策センターは、正規のサイトが改竄(かいざん)され、利用者のクレジットカード情報が盗まれる「Webスキミング」の被害実態も公表した。サイト設置者に管理パスワードの変更などの対策を呼びかけた。利用者は通常通り買い物ができるため、気付くのは困難という。国内で発行されたクレジットカードの不正利用額は、21年に約330億円を記録した。
生活用品大手のアイリスオーヤマは、同社が運営する通販サイト「アイリスプラザ」の偽サイトが横行しているとして、偽サイトのURLを公開し、注意を呼びかけた。前出の多田氏は「偽の通販サイトは商品価格が本物より大幅に値引きされているという特徴もある」と語る。