
ウラジーミル・プーチン大統領率いるロシア軍が、極東アジアでも威圧行動を活発化させている。ウクライナ侵攻と並行して、不法占拠する日本固有の領土、北方領土や日本海で大規模な軍事演習を行っているのだ。ロシア下院副議長からは「北海道の全権はロシアにある」などと領土的野心をあらわにする暴言も飛び出した。冷戦時代をほうふつさせる「北海道有事」の危険性。日本政府は年末にかけ、日本の外交・安全保障政策の長期指針を見直すが、ウクライナで残虐非道な暴挙を繰り返すロシアを厳重警戒すべきだ。

◇
「これまで地元の漁業関係者が(北方領土付近の海域で)ロシア当局に拿捕(だほ)されても、後で釈放されて帰ってきた。だが、ウクライナ侵攻で『日本人の生命の保証』は厳しくなったのではないか。ロシア軍の軍事演習も続き、かつてないほど住民の危機感は強まっている」
衆院北海道7区(根室市、釧路市など)選出、自民党の伊東良孝議員は18日、こう語った。根室市・納沙布岬からは、すぐ目前に歯舞群島の貝殻島をはじめ、色丹島や国後島などの北方領土が見える。
ロシアは極東の部隊をウクライナ侵攻に派遣する一方、欧米諸国とともにロシアに経済制裁を科した日本に反発し、軍事的威圧を続けている。
3月25日からは、北方領土と千島列島で対戦車ミサイルを投入し、3000人規模で軍事演習を行った。
根室海上保安部の巡視船は同月30日夜、ロシア軍が射撃訓練を行ったことを確認した。海上保安官が、国後島の方面で照明弾のような発光体が約1時間、断続的に光るのを目にした。