体操の名門クラブで数多くの五輪代表選手を輩出してきた朝日生命が、体操事業から2022年度限りで撤退することが19日、関係者への取材で分かった。指導に当たってきた五輪金メダリストの塚原直也氏は3月末で総監督を退任した。所属選手の受け入れ先はクラブが探している。
朝日生命は1974年に体操クラブを発足。男子個人総合で五輪2連覇の内村航平氏も高校時代に在籍するなど、東京都内を拠点に約半世紀、選手育成に尽力してきた。しかし、同社は00年代初頭の不況に伴い野球部やテニス部を廃部。体操も近年は低迷が続き、昨夏の東京五輪では代表選手を出せなかった。
68年メキシコ大会から五輪男子団体総合3連覇に貢献し「月面宙返り」で世界的に知られる塚原光男氏と妻千恵子氏が、指導者として同クラブの一時代を築いた。04年アテネ五輪では長男の直也氏が所属選手として団体総合金メダルに輝いた。女子では小菅麻里、大島杏子、石坂真奈美、鶴見虹子ら多くの五輪代表を育てた。
総監督は光男氏が16年まで務め、その後は直也氏が引き継いでいたが、退任。現在は再び光男氏が就任している。
関係者によるとジュニアコースなどを含めると750人が在籍。塚原光男氏と妻千恵子氏が当事者となった2018年のパワハラ騒動の影響も隠せなかったとみられる。