岸田文雄首相が掲げる「新しい資本主義」。経済成長最重視が鮮明だったアベノミクスと違って、中身が分かりにくいとの批判は少なくないが、長年の懸案となっているベンチャー企業育成に本腰を入れるようだ。
12日に首相官邸で開いた「新しい資本主義実現会議」は新興企業の育成が主な議題だった。証券関係者の注目はSPAC(スパック、特別買収目的会社)。未上場企業を買収するための会社で、特定の事業を持たないことから、「空き箱」にたとえられる。米国ではSPACが上場し、新株発行で調達した資金が新興企業に投資され、経済発展の大きな原動力になっている。
事務方が用意した資料では、米国のほか英、独、仏、カナダ、香港など海外主要取引所でSPAC上場が認められていることが紹介されている。SPACについては東証も専門家による研究会で投資家保護のルール作りの必要性など論点を整理している。
東証の市場区分再編は政府の強力な後押しで実現した経緯がある。岸田政権の意向を受けて、SPAC上場解禁も早まりそうだ。
【2022年4月15日発行紙面から】