/cloudfront-ap-northeast-1.images.arcpublishing.com/sankei/CKBX2DVPHJIG7OUMFR2WC7UMEM.jpg)
今をときめくパーフェクトピッチャー佐々木朗希を見ていて私の頭に浮かんだのは『夢の超特急』という懐かしいキャッチフレーズです。
昭和39年の東京オリンピックに向かう高度経済成長期の日本で国鉄に登場した新幹線、列車の名称は〝ひかり〟です。東京大阪間を3時間で結ぶ速さです。瞬間的スピードだけでなく、短時間で都市間を結び世の中を進化させる超特急に国民は大いに胸躍らせました。想像の域を超えた科学技術の進歩の象徴『夢の超特急ひかり号』のときめきが佐々木朗希のパフォーマンスでよみがえりました。

まず、4月10日の完全試合です。マリーンズやプロ野球ファンをはじめ野球関係者の多くが佐々木朗希の投球に驚愕(きょうがく)し興奮状態でした。そしてこの快挙は全国の話題を独占していきました。至る所で『令和の怪物』の文字が躍りました。
昭和の怪物は江川卓、平成の怪物は松坂大輔、そして佐々木朗希へとつながる流れを感じますが、2人の怪物以上の衝撃を与えました。怪物とあだなされる選手の多くは高校時代に甲子園という舞台でベールを脱ぎ、全国の強者たちをねじ伏せファンの喝采をあびながら怪物の称号を本格的に身にまとっていきました。
でも佐々木朗希にはこのプロセスがありません。大器の将来を見据え連投となる決勝戦の登板は避けるという判断があり、岩手代表として甲子園出場を勝ち取ることはできませんでした。これまでにあまりない大エースの決勝登板回避は大きな話題にもなりました。ですから私が知る限り『甲子園で見たかった選手ナンバーワン!』です。アマチュア時代は江川や松坂とは異なり無理をせず育まれました。