内田浩司のまくり語り

ただ〝なんとなく〟感じる競輪選手のたたずまい1/1ページ

菊池岳仁
菊池岳仁

選手をやっていた頃の話だけれど、混雑した東京駅や羽田空港などで「この人は競輪選手とちゃうかなぁ?」と思う人がごくごくたまにいた。

何カ月か先の開催の検車場でその人を見つけると、一人でほくそ笑んだりしたものだ。そのときは何を根拠にそう思ったのかというと、ただ〝なんとなく〟たたずまいとか雰囲気がオレたちのソレと似ているかなぁと感じたから。

選手ならそんな経験をした人は多いんじゃないのかな。その正体はよく分からないんだけれど、同じことを長くやっている者同士にしか分からない身体から発散しているオーラみたいなものが存在しているような気がするなぁ。

最初はどうしても視覚から入るので、見た目がゴツイとか派手とか怖いとか選手特有のものもあると思う。オレは移動するときはスーツだったけど、着やせしてたから銀行員とかスーパーマンとか言われていたし、初対面の人に「競輪選手です」っていうと大抵は驚かれた。

現在の選手はおしゃれでカッコいいし、昭和の時代、主に西日本の広島や岡山に多く生息した、仁義なき戦い風の選手は絶滅危惧種だし、なおさらだ。話が横道にそれちゃったけど、積み重ねた厳しい経験や現役選手のすごみみたいなものは間違いなく、にじみ出ているんじゃないかと思う。

一昨日、給料を下ろしている人で混雑したショッピングモールのATMで他行の列に並んでいる男性の後ろ姿を見て、1秒で後輩だと分かった。かれこれ7年も会ってないが、明らかに周りの人とは雰囲気が違った。オレは近づいて「ひさしぶり、もうベテランだし、身体を大事にして頑張れよ」とひと声掛けて別れた。

19日未明に起きた小倉の台所、旦過市場の火事はショックだ。たまに市場の中をふらふら歩くと昭和にタイムスリップしたような感覚が好きだったのに。もうすぐ建て替える計画だけど、諸行無常だよな。人生も悔いなく生きたいと思う。

全焼ではなかったが旦過市場が燃えた。旧小倉競輪場に続き昭和の遺産が消えていく…。

伊東ナイター初日S級特選12Rはデビュー時から応援している菊池の先行1車。〔3〕-〔1〕〔5〕-〔1〕〔5〕〔6〕。

(元競輪選手)

■内田浩司(うちだ・こうじ)1962年8月26日生まれ。福岡県出身。83年4月に51期生としてデビューし、S級上位で活躍。2015年10月29日に引退。通算435勝、優勝34回(記念Vは92年門司記念など6回)。FI先行・吉岡稔真(としまさ=福岡・65期)元選手の兄弟子で連携は多数。実直な性格と厳しい指導から〝鬼軍曹〟として恐れられていた。夕刊フジ競輪面にコラム『当てちゃる券』を執筆。『まくり語り』を連載中。競輪祭では特別コラム『小倉競輪祭 なう&リメンバー』を執筆。

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