ジュード・ロウ新境地の心理スリラー 狂気を抱えて破滅する愚かな男演じる 29日公開「不都合な理想の夫婦」1/1ページ

不都合な理想の夫婦((c)Nest Film Productions Limited/Spectrum Movie Canada Inc. 2019)
不都合な理想の夫婦((c)Nest Film Productions Limited/Spectrum Movie Canada Inc. 2019)

歌にもあるように、人生はいろいろだ。だからこんな夫婦がいたって不思議じゃない。むしろあるある感で納得するばかり。29日公開の「不都合な理想の夫婦」(ショーン・ダーキン監督)は、虚飾と野望の果てに狂っていく夫婦の心の崩壊を描く心理スリラーだ。

飾り立てたウソと野心丸出しの強気な生き方が裏目に出て、しっぺ返しをくらう。それは本人だけでなく周囲も巻き込んで家族や家庭を破滅に導くことになる。ジュード・ロウが愚かな男の生き方を演じる。

ニューヨークで成功を勝ち取った英国人のローリーには美しいアメリカ人の妻、アリソンと息子がいる。しかしロンドンに転居したことから歯車が狂い始める。

前半の幸せな夫婦像がガラガラと崩れていくさまは、さながら砂上の楼閣のよう。ジュードが虚言癖の夫をリアルに演じて秀逸。今回の狂気を抱えて破滅する役は新境地と評判になり、英国インディペンデント映画賞の6部門にノミネートを果たしている。

ダーキン監督も「マーサ、あるいはマーシー・メイ」でサンダンス映画祭の監督賞を受賞している実力派。監督がいう。

「舞台を1986年に設定したのは米英の関係性を描き出すためだった。金融危機が起こる前で多くの富を約束した資本主義特有のご都合主義の時代。アメリカでは対等だった夫と妻の関係がまたたく間に崩れていく。2人は伝統的な性別役割分担に陥るのだ。大西洋を越えることで真実が掘り起こされる」

妻を演じたキャリー・クーンはテレビドラマでキャリアを積み、「ゴーン・ガール」で映画デビュー。エミー賞主演女優賞にノミネートされるなど実力は折り紙付きだ。

この完璧なコンビが史上最高の演技を見せたのは「虚飾と野望」の行き着くところ。それだけに同情するか、ざまあみろと思うかはあなた次第だ。 (望月苑巳)

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